アルミサッシ・建具の選び方!種類やメリット・デメリットを徹底解説
2025/ 07/ 24

アルミサッシ・建具の選び方!種類やメリット・デメリットを徹底解説

採光のための室内窓
私たちの住まいにおいて、窓やドアといった開口部は、光を取り込み、風を通し、そして私たちを外部環境から守るという重要な役割を担っています。その開口部を構成する「サッシ」や「建具」には様々な素材が使われますが、中でも「アルミ」は、その耐久性や加工のしやすさから、多くの住宅で採用されてきました。

しかし、「アルミサッシって具体的にどんな種類があるの?」、「他の素材と比べて何が良くて、何に注意すべきなの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、そんなアルミサッシ・建具に関する基本的な知識から、具体的な種類とそれぞれの特徴、メリット・デメリット、さらには選ぶ際の重要なポイントやメンテナンス方法に至るまで、網羅的に分かりやすく解説します。

 

■アルミサッシ・建具とは何か?

住まいの開口部に欠かせないサッシや建具は、私たちの暮らしの快適性や安全性に大きく関わる重要な要素です。その中でも「アルミ」を素材としたものは、多くの住宅で採用されています。この章では、まずサッシと建具の基本的な違いと、なぜアルミ素材が広く選ばれるのかについて解説します。

 

・サッシと建具の基本的な違い

「サッシ」と「建具」は、しばしば混同されがちな言葉ですが、厳密には意味が異なります。「建具」とは、建物内外の開口部に取り付けられる開閉可能な仕切りの総称です。具体的には、窓、ドア、障子、ふすまなどがこれに該当します。

一方、「サッシ」は、この建具の中でも特にガラス窓に使われる金属の窓枠部分を指します。つまり、サッシは建具の一種であると言えます。リフォームなどを検討する際には、この違いを理解しておくと、業者とのコミュニケーションもスムーズに進むでしょう。

建具とは何?種類や選び方の基本をわかりやすく解説します! - ALMETAX STORE

 

・アルミ素材が選ばれる理由

アルミ素材がサッシや建具に多用されるのには、いくつかの明確な理由があります。まず挙げられるのは、その耐久性の高さです。アルミは錆びにくく、腐食にも強いため、風雨にさらされる屋外の使用にも適しています。また、軽量であるため、大きな窓やドアでも開閉が比較的容易であるという利点もあります。さらに、加工がしやすく、様々なデザインや形状に対応できる点も魅力です。
比較的安価であることも、普及を後押ししている要因の一つと言えるでしょう。

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■アルミサッシ・建具の種類と特徴

アルミ製のサッシや建具には、用途やデザインに応じて様々な種類が存在します。ここでは代表的なものを挙げ、それぞれの特徴について説明します。ご自身の住まいにどのようなタイプが適しているか、イメージしながら読み進めてみてください。

 

・引き違い窓・サッシ

引き違い窓は、2枚以上の窓ガラスを左右にスライドさせて開閉するタイプで、日本の住宅で最も一般的に見られる窓の一つです。開閉スペースを取らず、換気量の調整がしやすいのが特徴です。アルミサッシの場合、軽量であるためスムーズな操作が可能です。

 

・開き窓・サッシ(縦すべり出し・すべり出し)

すべり出し窓

開き窓は、窓枠の左右または上下を軸にして、外側に開くタイプの窓です。縦すべり出し窓は気密性が高く、効率的な換気が可能です。すべり出し窓は、雨天時でも雨が入り込みにくいというメリットがあります。アルミ製の場合、スリムなフレームデザインが実現しやすく、採光性を高めることができます。

 

・FIX窓(はめ殺し窓)

開閉できないFIX窓

FIX窓は、開閉機能を持たない固定された窓のことです。「はめ殺し窓」とも呼ばれ、主に採光や眺望を目的として設置されます。気密性に優れており、デザインの自由度が高いのが特徴です。アルミフレームは強度があるため、大きなガラス面を支えるのにも適しています。

 

・玄関ドア・引戸

住宅の顔とも言える玄関ドアや引戸にも、アルミ製のものが多く採用されています。アルミは耐久性に優れ、錆びにくいため、長期間美しい状態を保ちやすいのがメリットです。
また、豊富なデザインやカラーバリエーションがあり、住宅の外観に合わせて選ぶことができます。断熱性能や防犯性能を高めた製品も増えています。

 

・室内ドア・引戸

引き戸のイメージ
室内の間仕切りに使われるドアや引戸にも、アルミ製のものが活用されています。特に、ガラスを組み合わせたデザインや、スリムなフレームを活かしたモダンな空間によく合います。軽量で操作性が良く、耐久性もあるため、日常的に頻繁に開閉する場所に適しています。

 

■アルミサッシ・建具のメリット

アルミ製のサッシや建具は、多くの住宅で採用されていることからも分かるように、様々なメリットがあります。
ここでは、主な利点を4つのポイントに絞って具体的に解説します。これらのメリットを理解することで、なぜアルミが選ばれ続けるのかがより明確になるでしょう。

アルミニウムに関する専門用語 - ALMETAX STORE

 

・耐久性が高く長持ちする

アルミは、鉄などの金属と比較して非常に錆びにくいという特性を持っています。表面に形成される酸化皮膜が、内部の腐食を防ぐ役割を果たすためです。これにより、雨風にさらされる屋外環境でも長期間にわたって性能を維持しやすく、メンテナンスの手間も比較的少なくて済みます。適切な手入れを行えば、数十年単位での使用も期待できるでしょう。

 

・軽量で開閉がしやすい

室内建具のハンドルアップ
アルミは比重が小さく、鉄の約3分の1程度の重さしかありません。この軽量性は、サッシや建具の操作性において大きなメリットとなります。特に、大きな掃き出し窓や重量のある玄関ドアなどでは、開閉の際の負担が軽減され、日々の使い勝手が向上します。力の弱いお子様や高齢者にとっても扱いやすい素材と言えるでしょう。

 

・比較的リーズナブルな価格

他の素材、例えば樹脂や木製のサッシと比較して、アルミサッシは一般的に製造コストを抑えやすく、製品価格も比較的リーズナブルな傾向にあります。
新築や大規模なリフォームで多数の窓やドアを交換する場合、この価格差は総コストに大きく影響します。初期費用を抑えたい場合に、アルミは有力な選択肢の一つとなります。

 

・デザインやカラーが豊富

アルミは加工性に優れているため、様々な形状やデザインに対応しやすい素材です。シャープでモダンな印象のフレームから、和風建築に合うものまで、幅広いデザインバリエーションが存在します。
また、表面の塗装技術も進化しており、カラーも選ぶことが可能です。これにより、住宅の外観や内装のテイストに合わせて、最適な製品を見つけやすいというメリットがあります。

 

■アルミサッシ・建具のデメリット

多くのメリットを持つアルミサッシ・建具ですが、一方でいくつかのデメリットも存在します。これらを事前に把握しておくことは、後悔のない製品選びのために非常に重要です。ここでは、特に注意しておきたい3つのデメリットについて解説します。

 

・断熱性が低い傾向にある

アルミは熱伝導率が高い金属であるため、外気の影響を受けやすく、断熱性の面では他の素材に比べて劣る傾向があります。冬場は外の冷気が室内に伝わりやすく、夏場は太陽の熱が入り込みやすいため、冷暖房効率が低下する可能性があります。

ただし、近年ではこのデメリットを改善するために、樹脂との複合サッシや、ガラスの性能を高めることで断熱性を向上させた製品も開発されています。

 

・結露が発生しやすい

断熱性の低さと関連して、アルミサッシは結露が発生しやすいというデメリットもあります。冬場に室内の暖かい空気が冷たいサッシの表面に触れると、空気中の水蒸気が水滴となって付着します。結露はカビやダニの発生原因となるだけでなく、窓周りの木材を腐食させる可能性もあるため注意が必要です。

対策としては、室内の換気をこまめに行う、除湿器を使用するなどが挙げられます。

 

・金属特有の冷たさを感じる

アルミは熱伝導率が高いため、触れた際に金属特有のひんやりとした冷たさを感じやすい素材です。特に冬場は、窓辺に近づくと冷気を感じやすく、室内の快適性を損なう一因となることがあります。

この点は、特に寒冷地にお住まいの方や、温かみのある室内空間を重視する方にとってはデメリットと感じられるかもしれません。

 

■アルミサッシ・建具を選ぶ際の重要ポイント

アルミサッシ
アルミサッシや建具を選ぶ際には、単にデザインや価格だけでなく、住まいの環境や目的に合った性能を持つ製品を選ぶことが大切です。ここでは、後悔しないための重要なチェックポイントを5つ紹介します。
これらのポイントを押さえて、最適な製品選びを進めましょう。

 

・設置場所に適した種類を選ぶ

まず考慮すべきは、サッシや建具を設置する場所と、その目的に合った種類を選ぶことです。
例えば、リビングの大きな開口部には採光性と開放感に優れた引き違い窓や掃き出し窓が適していますし、キッチンや浴室など換気が必要な場所には、すべり出し窓や内倒し窓などが考えられます。玄関には防犯性や断熱性、デザイン性を兼ね備えたドアを選ぶ必要があるでしょう。

 

・断熱性・気密性を確認する

快適な室内環境を保つためには、サッシの断熱性と気密性が非常に重要です。断熱性が低いと、夏は暑く冬は寒い家になりがちで、冷暖房費もかさんでしまいます。
アルミサッシを選ぶ際には、単板ガラスではなく複層ガラスやLow-E複層ガラスが採用されているか、また、サッシ枠の構造が断熱性を高める工夫がされているかなどを確認しましょう。

 

・防犯性能をチェックする

窓やドアは、空き巣などの侵入経路となりやすいため、防犯性能も重要な選定ポイントです。アルミサッシの場合、クレセント(窓の鍵)だけでなく、補助錠が付いているか、ガラスが防犯合わせガラスになっているかなどを確認しましょう。

玄関ドアであれば、ピッキングに強いディンプルキーや、2つ以上の鍵が付いている「ワンドア・ツーロック」が基本です。CPマーク(防犯性能の高い建物部品の目印)が付いている製品は、一定の防犯基準を満たしているため、選ぶ際の目安になります。

 

・デザインと色を住まいの雰囲気に合わせる

サッシや建具は、住宅の外観や内装の印象を大きく左右する要素です。そのため、デザインや色選びも慎重に行う必要があります。アルミサッシは、シャープでモダンなデザインから、木目調などの温かみのあるデザインまで多様な選択肢があります。建物のスタイルや外壁の色、内装のテイストと調和するものを選ぶことで、統一感のある美しい住空間を実現できます。

ショールームで実物を確認したり、カラーシミュレーションを活用したりするのも良いでしょう。

 

・ガラスの種類も考慮する

サッシの性能は、組み合わせるガラスの種類によっても大きく変わります。一般的な単板ガラスのほか、2枚のガラスの間に空気層を設けた「複層ガラス(ペアガラス)」、さらに断熱性能を高めた「Low-E複層ガラス」、防音効果のある「防音ガラス」、割れにくく安全性の高い「強化ガラス」や「合わせガラス」などがあります。
設置場所の環境や求める性能に応じて、最適なガラスを選ぶことが重要です。

 

■アルミサッシ・建具のメンテナンス方法

室内窓を掃除している様子

アルミ製のサッシや建具は耐久性が高いですが、長期間快適に使用するためには定期的なメンテナンスが不可欠です。適切な手入れを行うことで、美観を保ち、機能を維持することができます。

ここでは、日常的な清掃から専門業者への依頼が必要なケースまで、具体的なメンテナンス方法について解説します。

 

・日常的な清掃の手順

アルミサッシの日常的な清掃は、比較的簡単に行うことができます。まず、レール部分に溜まった砂やホコリを掃除機で吸い取るか、ブラシで掃き出します。次に、固く絞った雑巾でサッシ枠の汚れを拭き取ります。汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めた液で拭き、その後水拭きして洗剤成分をしっかり落としましょう。

ガラス面は、ガラスクリーナーを使用するか、水拭き後に乾いた布で拭き上げると綺麗になります。月に1回程度の清掃を心がけると良いでしょう。

 

・戸車の調整と交換の目安

引き違い窓や引戸の開閉が重くなったり、ガタついたりする場合は、戸車に問題がある可能性があります。まず、戸車やレールにゴミが詰まっていないか確認し、清掃します。それでも改善しない場合は、戸車の高さ調整が必要かもしれません。多くの戸車には調整ネジが付いており、これを回すことで高さを微調整できます。

調整してもスムーズに動かない、異音がする、戸車が破損しているといった場合は、戸車の交換が必要です。
交換用の戸車はホームセンターなどで購入できますが、適合する製品を選ぶ必要があるため、既存の戸車のメーカーや型番を確認しておくと良いでしょう。

 

・専門業者に依頼するケース

日常的な清掃や簡単な調整では対応できない問題が発生した場合は、無理をせず専門業者に相談することをおすすめします。
例えば、サッシや建具の歪みや大きな破損、鍵(クレセント)の故障、複層ガラス内部の結露などは、専門的な知識や技術が必要です。また、高所にある窓の修理や交換、防犯性能に関わる修理なども、安全面を考慮してプロに任せるのが賢明です。

複数の業者から見積もりを取り、費用や作業内容を比較検討すると良いでしょう。

 

■アルミサッシ・建具のDIYとリフォーム

窓を確認する業者

アルミサッシや建具に関する作業には、自分で手軽に行えるDIYから、専門業者による本格的なリフォームまで様々なレベルがあります。
ここでは、DIYで対応可能な範囲とその際の注意点、そしてリフォームによってどのような効果が期待できるのか、信頼できる業者の選び方について解説します。

 

・DIYで可能な範囲と注意点

アルミサッシや建具のメンテナンスにおいて、DIYで対応できる範囲としては、網戸の張り替え、戸車の交換、クレセント(鍵)の交換、簡単な清掃や調整などが挙げられます。これらの作業は、ホームセンターで材料や工具を比較的容易に入手でき、手順を解説した情報もインターネットなどで見つけやすいでしょう。

ただし、DIYを行う際にはいくつかの注意点があります。まず、作業前に必ず製品の取扱説明書をよく読み、正しい手順で行うことが重要です。また、サイズや規格の合う部品を選ぶこと、無理な力を加えないこと、高所での作業は安全対策を十分に行うことなどに注意が必要です。

 

・リフォームで期待できる効果

既存のアルミサッシや建具を新しいものに交換するリフォームを行うことで、様々な効果が期待できます。最も大きな効果の一つは、断熱性能の向上です。古い単板ガラスのアルミサッシから、複層ガラスや樹脂複合サッシなどに交換することで、冬の寒さや夏の暑さを大幅に軽減し、冷暖房効率を高めることができます。これにより、光熱費の削減にも繋がります。
また、気密性が向上することで、防音効果も期待でき、外部の騒音が気になる環境では静かな室内空間を実現できます。

 

・信頼できる業者の選び方

アルミサッシや建具のリフォームを成功させるためには、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。
まず、複数の業者から見積もりを取り、費用だけでなく、提案内容や工事実績、保証内容などを比較検討しましょう。その際、見積もりの内訳が明確で、追加費用の可能性についてもきちんと説明してくれる業者を選ぶことが大切です。

また、建設業の許可や窓関連の資格(例えば、ガラス施工技能士など)を持っているかどうかも、信頼性を判断する一つの目安となります。
実際に施工した事例を見せてもらったり、過去の顧客の評判をインターネットなどで確認したりするのも良いでしょう。

 

■まとめ

アルミサッシや建具は、耐久性や価格、デザインの豊富さといったメリットがある一方で、断熱性などの面で注意が必要な点もあります。しかし、近年の製品は性能が向上しており、複層ガラスとの組み合わせや樹脂との複合構造など、デメリットを補う工夫が凝らされています。

ご自身の住まいの環境や求める性能、予算などを総合的に考慮し、それぞれの種類や特徴を理解した上で最適な製品を選ぶことが、快適で安全な住空間を実現するための鍵となります。この記事で紹介した情報が、あなたのアルミサッシ・建具選びの一助となれば幸いです。

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