建具とは何?種類や選び方の基本をわかりやすく解説します!
2025/ 06/ 18

建具とは何?種類や選び方の基本をわかりやすく解説します!

アルミを使用した室内建具のイメージ
「建具」という言葉を聞いたことはありますか。家づくりやリフォームを考え始めると、耳にする機会が増えるかもしれません。
しかし、具体的に何を指すのか、どんな役割があるのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。建具は、私たちの住まいの快適さや機能性、そしてデザイン性を大きく左右する重要な要素です。

この記事では、「建具とは何か」という基本的なところから、種類、選び方のポイントまで、わかりやすく解説していきます。


■建具とは?まずは基本を理解しよう

建具について深く知るために、まずはその定義と住まいにおける重要性、そして大まかな分類について確認しましょう。これらを理解することで、後の種類や選び方の話がよりスムーズに頭に入ってくるはずです。

 

・建具の正確な定義とは何か

建具(たてぐ)とは、建物の開口部に取り付けられる戸、窓、ふすま、障子などの総称です。もっと簡単に言うと、部屋の出入り口や外部との仕切りに使われる、開け閉めできる部分全体を指します。

例えば、玄関のドア、リビングの窓、和室の障子、クローゼットの扉などもすべて建具の一種です。これらは単に空間を仕切るだけでなく、私たちの生活を豊かにする様々な機能を持っています。

 

・なぜ建具が住まいに重要なのか

デザイン性の高い建具

建具は、住まいの中で非常に多くの役割を担っています。
具体的には、人の出入りをスムーズにする、光を取り入れたり遮ったりする(採光)、風通しを良くする(通風)、室内の温度を保つ(断熱)、外部の騒音を軽減する(防音)、プライバシーを確保する、そして時には防犯の役割も果たします。

このように、建具は住まいの快適性、安全性、省エネ性、さらにはデザイン性を高めるために不可欠な存在と言えるでしょう。

 

・外部建具と内部建具の違いとは

建具は、設置される場所によって大きく「外部建具」と「内部建具」の2つに分けられます。

 建具の種類 説明 代表例 主な役割
外部建具

建物の外周壁に取り付けられ、
室内と屋外を仕切る建具です。

玄関ドア、勝手口ドア、
窓、雨戸、網戸など
出入り、採光、通風、断熱、
防音、防犯、風雨からの保護
内部建具 建物内部の部屋と部屋の間や、
部屋と廊下などを仕切るために用いられる建具です。
室内ドア、間仕切り戸、
ふすま、障子など
部屋間の区画、
プライバシー確保、
冷暖房効率の向上、
収納スペースの目隠しなど


外部建具は天候や防犯性能がより重視され、内部建具はデザイン性や使い勝手、部屋同士のつながりが考慮されることが多いです。

 

■建具にはどんな種類があるの?

建具には様々な分類方法がありますが、ここでは「目的」と「開閉方法」による分類をご紹介します。これらの分類を知ることで、自宅に必要な建具のイメージがより具体的になるでしょう。

 

・目的で分類する建具の主なカテゴリ

建具はその使用目的に応じて、いくつかのカテゴリに分けられます。

  • 出入口建具:玄関ドアや勝手口ドアなど、家の内外や部屋間を出入りするために使用されます。

  • 窓建具:掃き出し窓、腰高窓、天窓、出窓など、採光や通風、眺望を目的として設置されます。雨戸や網戸もこのカテゴリに含まれます。

  • 内部建具(間仕切り):室内ドア、室内窓、ふすま、障子、欄間(らんま)など、室内の空間を仕切ったり、繋いだりする役割を持ちます。
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  • 収納建具:クローゼットの扉や押入れのふすま、下駄箱の扉など、収納スペースを隠し、生活空間と区切るために使用されます。


・開閉方法で変わる!代表的な建具3タイプ

建具の機能性や使い勝手に大きく関わるのが、開閉方法の違いです。
ここでは代表的な3つのタイプ、「開き戸」「引き戸」「折れ戸」について、それぞれの基本的な仕組みを見ていきましょう。これらの特徴を理解することが、最適な建具選びの第一歩となります。

 

■開き戸の特徴とメリット・デメリット

最も一般的なドアのタイプである「開き戸」について、その構造からメリット・デメリットまで詳しく見ていきましょう。

 

・開き戸の基本的な構造と特徴

開き戸のイメージ
開き戸(ひらきど)は、扉の片側に取り付けられた丁番(ちょうつがい)を軸にして、前後に円弧を描くように開閉するタイプの建具です。構造が比較的シンプルで、洋室のドアや玄関ドアなど、多くの場所で採用されています。

 

・開き戸を選ぶメリットとは何か

開き戸には以下のようなメリットがあります。

  • 気密性・遮音性が高い:枠と扉が密着しやすいため隙間ができにくく、気密性や遮音性に優れています。これにより、冷暖房効率の向上や音漏れの軽減が期待できます。

  • デザインが豊富:主に普及しているタイプのため、デザインや材質、色のバリエーションが豊富です。部屋の雰囲気に合わせて選びやすいでしょう。

  • 比較的安価:構造がシンプルなため、他の開閉タイプに比べてコストを抑えられる傾向があります。

 

・開き戸を選ぶ際のデメリットと注意点

一方で、開き戸には以下のようなデメリットや注意点も存在します。

  • 開閉スペースが必要:扉が開く軌道上にスペースが必要となるため、廊下が狭い場所や家具の配置によっては使いづらくなることがあります。

  • デッドスペースが生まれる可能性:扉の可動範囲には物を置けないため、デッドスペースが生じやすいです。

  • 風による影響:強風時に急に開いたり閉まったりすることがあるため、ドアストッパーなどで対策が必要な場合があります。また、開けた扉に人がぶつからないよう動線にも配慮が必要です。

 

■引き戸の特徴とメリット・デメリット

引き戸のイメージ
日本の住宅でも古くから親しまれている「引き戸」。その魅力と注意点を解説します。

 

・引き戸の基本的な構造と種類

引き戸(ひきど)は、溝やレールに沿って戸を水平方向にスライドさせて開閉する建具です。開き戸のように前後のスペースを必要としないのが大きな特徴です。

主な種類としては、1枚の戸を左右どちらかに引く「片引き戸」、2枚以上の戸を左右どちらにも動かせる「引き違い戸」、2枚の戸を左右両側に引き分ける「引き分け戸」などがあります。

 

・引き戸を選ぶメリットとは何か

引き戸には多くのメリットがあります。

  • 省スペース:開閉時に扉が前後に飛び出さないため、開き戸のような開閉スペースが不要です。部屋を有効活用でき、家具のレイアウトもしやすいです。

  • 開放感の演出:扉を開け放しておくことで、隣り合う空間を一体的に使えます。これにより、広々とした開放的な空間を演出しやすくなります。

  • バリアフリーに適している:開閉動作が小さく、車椅子の方や高齢者、小さなお子さんでも比較的楽に操作できます。床にレールがない上吊り式タイプは、段差がなくより安心です。

  • 通風調整がしやすい:開ける幅を自由に調整できるため、風通しのコントロールがしやすいです。

 

・引き戸を選ぶ際のデメリットと注意点

魅力的な引き戸ですが、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。

  • 気密性・遮音性が劣る場合がある:構造上、開き戸に比べて枠と戸の間に隙間ができやすく、気密性や遮音性が若干劣る傾向があります。

  • 戸袋スペースが必要:壁の内部や外部に戸を引き込むためのスペース(戸袋)が必要になる場合があります。これにより壁の厚みが変わることや、スイッチやコンセントの設置場所に制約が出たりすることがあります。

  • レールの掃除:床にレールがあるタイプの場合、溝に埃がたまりやすく、定期的な掃除が必要です。

 

■折れ戸の特徴とメリット・デメリット

折れ戸のイメージ
省スペース性に優れた「折れ戸」は、特に収納スペースの扉として人気があります。

 

・折れ戸の基本的な構造と用途

折れ戸(おれど)は、複数枚に分かれた扉が中央部分や丁番で連結されており、折りたたむようにして開閉するタイプの建具です。主にクローゼットや押入れの扉、浴室の出入り口などに用いられます。
扉1枚分の大きな開閉スペースを必要としないのが特徴です。

 

・折れ戸を選ぶメリットとは何か

折れ戸の主なメリットは以下の通りです。

  • 省スペースで広い開口:開き戸に比べて扉の軌道が小さく、開閉に必要な手前のスペースが少なくて済みます。また、開口部を広く取れるため、収納物などの出し入れがしやすいです。

  • 収納内部が見渡しやすい:扉を大きく開けることができるため、収納内部全体を見渡しやすく、整理整頓にも役立ちます。

 

・折れ戸を選ぶ際のデメリットと注意点

折れ戸を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

  • 扉の厚み分のデッドスペース:開けた際に折りたたまれた扉の厚み分が、開口部の左右どちらかに残るため、完全なフラットにはなりません。

  • 指挟みのリスク:構造上、折りたたむ部分で指を挟む可能性があるため、特に小さなお子さんがいるご家庭では、指挟み防止機能が付いた製品を選ぶなどの配慮が必要です。

  • 耐久性と操作性:開き戸や引き戸に比べると構造がやや複雑なため、製品によっては耐久性や操作性に差が出ることがあります。

 

■建具の材質は何で選ぶべき?

建具の印象や機能は、使われる材質によっても大きく変わります。代表的な材質の特徴を理解し、用途や好みに合わせて選びましょう。

 

・木製建具の種類と温もりある魅力

木製建具は、その温かみのある質感と美しい木目で、空間に安らぎと高級感を与えてくれます。

  • 無垢材:天然木をそのまま切り出して加工したもので、本物の木の風合い、調湿効果、経年変化を楽しめるのが魅力です。ただし、反りや割れが生じやすく、比較的高価です。

  • 集成材:小さな木材を接着剤で組み合わせたもので、無垢材に比べて反りや寸法の狂いが少なく、品質が安定しています。

  • 化粧合板・シート貼り:合板の表面に薄くスライスした天然木(突板)や木目調のシートを貼ったものです。デザインや色のバリエーションが豊富で、汚れに強く、比較的安価な製品が多いです。


和室の障子や襖も、木製の枠に紙や布を貼った伝統的な木製建具の一種です。軽量で扱いやすく、空間に柔らかな印象を与えます。

 木製建具の種類 特徴 メリット デメリット
無垢材 天然木そのままの風合い、
調湿効果、経年変化
質感が高い
オンリーワンの表情
高価、反り・割れのリスク、
メンテナンスが必要
集成材 小さな木材を接着し再構成、
品質が比較的安定
無垢材より安価
反りにくい
接着剤使用、無垢材ほどの
風合いはない場合がある
化粧合板/シート貼り 合板表面に木目調の化粧材を貼付 安価
デザイン豊富
手入れが楽
本物の木の質感には劣る、
耐久性は製品による
障子・襖 木製の骨組みに紙や布を貼ったもの 軽量
和の雰囲気
調湿効果(紙の場合)
破れやすい(一般的な紙の場合)、
汚れやすい

 

・金属製建具(アルミ・スチール)の耐久性と機能

金属製建具のイメージ
金属製建具は、主にアルミやスチール(鉄)が用いられ、その耐久性や機能性の高さから外部建具に多く採用されます。
  • アルミニウム製:軽量で加工しやすく、錆びにくいのが特徴です。窓サッシや玄関ドア、勝手口ドアなどに広く使われています。ただし、熱伝導率が高いため、断熱性能では他の素材に劣る場合があります。最近では断熱性を高めた製品も増えています。
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  • スチール製:アルミよりも強度が高く、防火性や防犯性に優れています。マンションの玄関ドアや防火戸などに用いられることが多いです。重量があるため、一般住宅の室内建具としてはあまり使われません。

 

・樹脂製建具の断熱性とメンテナンス性

樹脂製建具は、主に塩化ビニル樹脂などが使われ、特に窓サッシ(樹脂サッシ)でその性能を発揮します。

熱伝導率が非常に低いため断熱性に優れており、結露の発生を抑える効果が高いです。また、気密性や防音性、耐候性にも優れ、メンテナンスも比較的容易です。近年、省エネ意識の高まりとともに注目されています。

 

・ガラス建具の採光性とデザイン性

ガラスは、ドアの一部や間仕切り戸などにデザインの一部として、あるいは全面ガラス戸として用いられ、空間に明るさと開放感をもたらします。

透明ガラス、すりガラス、型板ガラス、強化ガラスなど種類も豊富で、採光、視線のコントロール、安全性などを考慮して選びます。光を効果的に取り入れつつ、デザインのアクセントとしても機能します。ただし、割れるリスクやプライバシーへの配慮も必要です。

 

■失敗しない建具選びのポイント

たくさんの種類や材質がある建具。どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。ここでは、後悔しないための建具選びの基本的なポイントをご紹介します。

 

・設置場所と目的に合った機能を選ぶ

まず大切なのは、「どこに」、「何のために」建具を設置するのかを明確にすることです。

例えば、玄関ドアなら防犯性や断熱性、リビングの窓なら採光性や通風性、寝室のドアなら遮音性やプライバシーの確保が重要になります。浴室やトイレなど水まわりでは、耐水性や清掃のしやすさも考慮すべき点です。
それぞれの場所で求められる機能を優先順位付けして選びましょう。

 

・部屋の雰囲気と調和するデザインを選ぶ

明るく開放的な室内建具

建具は面積が大きく、部屋の印象を大きく左右する要素です。床材や壁紙、家具など、部屋全体のインテリアテイスト(モダン、ナチュラル、クラシック、和風など)と調和するデザインや色を選ぶことが大切です。

例えば、明るく開放的な空間にしたい場合は、白っぽい色やガラス面が大きい建具を選んだり、天井までの高さがある「ハイドア」を取り入れたりするのも効果的です。
逆に、落ち着いた雰囲気にしたい場合は、濃い木目調やシックな色の建具が適しています。

 

・ハンドルや金物などの細部にもこだわる

室内建具のハンドルアップ

ドアハンドル(取っ手)、丁番、レールといった金物は、建具の機能性はもちろん、デザインのアクセントとしても重要な役割を果たします。

ハンドルの形状(レバーハンドル、ドアノブなど)や材質(金属、木製など)、色によって、使い勝手や見た目の印象が大きく変わります。建具本体のデザインだけでなく、これらの細部にもこだわることで、より満足度の高い空間づくりができます。

 

・ショールームで実物を確認する重要性

カタログやインターネットの情報だけで判断せず、できる限りショールームなどで実物を確認することをおすすめします。

写真では伝わりにくい色味や質感、素材感、そして実際に開閉したときの操作感や重さなどを体感できます。また、専門のスタッフに相談することで、疑問点を解消したり、より具体的なアドバイスをもらえたりするメリットもあります。

 

■建具選びでよくある質問(Q&A)

建具選びに関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。

 

・Q1. 建具の交換・リフォームは自分でできる?

A1. 蝶番の調整や簡単な戸車の交換程度であればDIY可能な場合もありますが、建具本体の交換や枠ごとリフォームする場合は、専門的な知識と技術が必要です。
特に外部建具や気密性・防水性が求められる場所の建具は、専門業者に依頼するのが無難です。無理に自分で行うと、建具の性能を損ねたり、建物自体に影響が出たりする可能性もあります。

 

・Q2. 防音性の高い建具を選ぶには?

A2. 防音性を高めるには、まず気密性の高い建具を選ぶことが重要です。開き戸で、枠と扉がしっかりと密着する構造のものや、戸当たりにパッキンが付いているものが効果的です。引き戸の場合は、気密性を高める工夫がされた製品を選びましょう。
また、扉自体の厚みや材質も影響します。ガラス部分には、二重ガラス(ペアガラス)や防音合わせガラスなどを採用するとより効果が高まります。

 

・Q3. ペットと暮らす場合の建具選びの注意点は?

A3. ペットと一緒に暮らす場合、建具選びにもいくつか配慮したい点があります。例えば、猫や小型犬が出入りできるペットドア付きの建具や、爪で傷つきにくい表面材を使用した建具を選ぶと良いでしょう。
また、床材との兼ね合いも重要で、ペットが滑りにくい床材を選び、建具の開閉時に足元が安全であるように配慮することも大切です。

 

■まとめ

この記事では、「建具とは何か」という基本から、その種類、材質、選び方のポイント、さらにはよくある質問までを解説してきました。建具は単なる仕切りではなく、住まいの快適性、機能性、デザイン性を大きく向上させるための重要なパーツです。

それぞれの建具が持つ特徴やメリット・デメリットをよく理解し、ご自身のライフスタイルや住まいの目的に合わせて最適なものを選ぶことが、理想の住まいづくりへの近道となります。今回の情報が、皆さんの建具選びの一助となれば幸いです。

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