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現在のキッチンに「古さを感じる」、「収納が足りない」、「デザインが好みではない」といった不満はありませんか。リフォームを考えたとき、専門業者に依頼すると費用が高額になりがちです。
しかし、近年のDIYブームにより、自分でできる範囲で手を加え、費用を抑えつつ理想のキッチンを実現したいと考える方が増えています。
この記事では、キッチンリフォームでDIYが可能な範囲とプロに任せるべき作業の境界線、具体的なDIYのアイデアから注意点までを詳しく解説します。
■キッチンリフォームはDIYでどこまでできる?
キッチンリフォームといっても、その内容は多岐にわたります。手軽な模様替えから専門的な工事まで様々ですが、DIYで行える範囲には限りがあります。特に、安全性や法律に関わる部分は、個人の判断で行うことはできません。
ここでは、DIYで対応できる箇所と、必ず専門業者に依頼すべき箇所を明確に区別して解説します。
DIYで対応しやすいリフォーム箇所

例えば、キッチンの壁紙を張り替えたり、収納棚を取り付けたりといった作業が挙げられます。これらの作業は、ガスや水道、電気の専門資格を必要とせず、ホームセンターなどで手に入る道具や材料で対応可能です。見た目の印象を大きく変えることができるため、DIYによる満足感も得やすいでしょう。
専門業者への依頼が必須なリフォーム箇所
一方で、専門的な知識や資格がなければ絶対に行ってはならない作業があります。これらは安全性に直結するため、必ずプロの業者に依頼する必要があります。無理にDIYを行うと、火災や水漏れといった重大な事故につながる危険性があります。
業者への依頼が必須な作業 | 理由 |
ガスコンロの交換・接続 | ガス管の接続には「ガス可とう管接続工事監督者」などの専門資格が必要であり、無資格での作業は法律で禁止されています。 |
給排水管の移設・接続 | シンクの交換や移設に伴う給排水管の工事は、水漏れのリスクが非常に高く、専門的な技術が求められます。 |
レンジフード(換気扇)の交換 | 種類によって排気ダクトの接続や電気配線の工事が必要であり、火災予防条例などの規制も関わるため、専門知識が必要です。 |
システムキッチン本体の交換 | 本体は重量があり、組み立てや設置には精密さが求められます。また、ガス・水道・電気の複合的な工事が伴います。 |
■DIYでできるキッチンリフォームのアイデアと費用相場
専門業者への依頼が必要な範囲を理解した上で、DIYで楽しめるリフォームの具体的なアイデアと、おおよその費用相場を紹介します。少しの手間と工夫で、キッチンの雰囲気は大きく変わります。
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壁紙やリメイクシートで印象を変える

- 費用相場5,000円~(材料費のみ)
- 作業のポイント: 貼る前には、壁の油汚れやホコリをきれいに拭き取ることが、きれいに仕上げるコツです。
床にクッションフロアを敷いて模様替え
床の汚れや傷が気になる場合、既存の床の上にクッションフロアを敷くことで、簡単にかくして模様替えができます。クッションフロアは防水性が高く、汚れも拭き取りやすいため、キッチンに適した床材です。ハサミやカッターで簡単にカットでき、両面テープで固定するだけなので、初心者でも比較的取り組みやすいDIYです。
- 費用相場: 20,000円~30,000円(材料費のみ)
- 作業のポイント: 型紙を作ってからカットすると、シンクの配管周りなど複雑な形状にも合わせやすくなります。
収納棚やカウンターを増設する
「作業スペースや収納が足りない」という悩みは、DIYで解決できます。壁面に棚受けレールを取り付けて可動棚を設置したり、カラーボックスと天板を組み合わせて作業カウンターを自作したりする方法があります。つっぱり棒式のラックも、壁を傷つけずに収納を増やせる便利なアイテムです。
- 費用相場: 5,000円~30,000円(材料費のみ)
- 作業のポイント: 棚を壁に取り付ける際は、下地センサーを使って柱のある場所を確認し、しっかりと固定することが重要です。
■キッチンリフォームをDIYで行うメリット
手間をかけてでもDIYを選ぶことには、多くの魅力があります。費用面だけでなく、精神的な満足度にもつながるメリットを紹介します。
費用を大幅に節約できる
最大のメリットは、やはり費用の節約です。
専門業者にリフォームを依頼する場合、材料費に加えて人件費や工事費が発生します。DIYであれば、これらの費用がかからず、材料費だけで済むため、全体のコストを大幅に抑えることが可能です。
浮いた費用で、少しグレードの高い水栓金具を選ぶなど、他の部分にお金をかけることもできます。
自分好みのデザインを実現できる
業者に依頼すると、選べるデザインや素材は、その会社が取り扱う製品の範囲内に限られることが少なくありません。しかしDIYであれば、壁紙の色から取っ手のデザイン一つひとつに至るまで、完全に自分の好みに合わせて自由に選ぶことができます。
細部にまでこだわった、世界に一つだけのオリジナルキッチンを作れるのは、DIYならではの醍醐味です。
キッチンへの愛着が深まる
自分の手で時間をかけて作り上げたキッチンには、特別な愛着が湧くものです。完成したときの達成感はもちろん、日々の料理や片付けの時間も、より楽しいものに変わるでしょう。多少の不格好な部分も「味」として感じられ、大切に使おうという気持ちが自然と芽生えるはずです。
■キッチンリフォームをDIYで行うデメリットと注意点
多くのメリットがある一方で、DIYにはデメリットや注意すべき点も存在します。計画を始める前に、リスクを正しく理解しておくことが、後悔しないための第一歩です。
時間と手間がかかる
DIYは、材料の選定や購入、実際の作業など、すべてを自分で行う必要があります。特に、普段仕事をしている方にとっては、まとまった作業時間を確保するのが難しいかもしれません。計画通りに進まず、想定以上に時間がかかってしまうことも覚悟しておく必要があります。
失敗による追加コストのリスク
初心者の場合、採寸ミスで材料を無駄にしてしまったり、作業に失敗して壁や床を傷つけてしまったりするリスクが伴います。結果的に、修正のために追加の材料費がかかったり、プロに手直しを依頼することになって、かえって費用が高くついてしまう可能性もゼロではありません。
賃貸物件の場合は原状回復義務を確認する
賃貸物件でDIYを行う前には、必ず賃貸借契約書を確認し、管理会社や大家さんに許可を取る必要があります。多くの場合、退去時には「原状回復」が義務付けられています。壁に穴を開けたり、後が残るような接着剤を使用したりすると、退去時に高額な修繕費用を請求される可能性があるため、注意が必要です。
安全管理を徹底する
DIYでは、工具の扱いや高所での作業など、怪我の危険が伴います。作業中は必ず軍手を着用し、脚立を使う際は安定した場所に設置するなど、基本的な安全管理を徹底してください。また、塗料や接着剤を使用する際は、十分に換気を行い、健康への影響にも配慮することが大切です。
■DIYが難しいリフォームを業者に依頼する際のポイント
壁紙や収納棚はDIYで、ガスコンロやシステムキッチンの交換は専門業者に、というように両者を組み合わせることで、賢くリフォームを進めることができます。業者に依頼する際に知っておきたいポイントを紹介します。
施主支給でコストを抑える方法
「施主支給(せしゅしきゅう)」とは、キッチン本体やコンロ、水栓といった設備を、施主(依頼者)が自らインターネット通販などで購入し、業者には取り付け工事だけを依頼する方法です。業者経由で購入するよりも安く設備を手に入れられる場合があり、コスト削減につながります。ただし、業者によっては施主支給に対応していない、または保証の対象外となる場合があるため、必ず事前に確認が必要です。
業者選びは複数社の見積もりを比較する
リフォーム業者を選ぶ際は、最初から一社に絞らず、必ず複数の会社から見積もりを取りましょう。同じ工事内容でも、業者によって費用は大きく異なります。見積もりを比較することで、適正な価格相場を把握できるだけでなく、各社の提案内容や担当者の対応を比較検討し、信頼できる一社を見つけることができます。
■まとめ
キッチンリフォームにおけるDIYは、費用を抑えながら自分好みの空間を実現できる魅力的な方法です。壁紙の変更や収納の追加など、専門資格が不要な範囲であれば、初心者でも十分に挑戦できます。
一方で、ガス・水道・電気に関わる工事は、安全上の理由から必ず専門業者に依頼しましょう。
DIYの楽しさとプロの技術を賢く組み合わせ、後悔のない理想のキッチンリフォームを実現してください。