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新築やリフォームで家づくりを進める中で、意外と頭を悩ませるのが「室内ドア」選びです。単なる部屋の仕切りと考えがちですが、室内ドアは空間の印象を大きく左右し、日々の暮らしの快適性にも深く関わる重要なインテリア要素です。しかし、いざ選ぶとなると種類の多さや専門用語に戸惑い、「何から決めればいいの?」と感じる方も少なくありません。
この記事では、そんなお悩みを解決するために、室内ドアの基本的な知識から、後悔しないための選び方のステップ、場所別の最適なドアまで、分かりやすく徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたの理想の住まいにぴったりの一枚がきっと見つかるはずです。
■室内ドアはなぜ重要?選び方で変わる暮らしの質
室内ドアは、部屋と部屋を繋ぎ、空間を仕切るという基本的な役割だけではありません。選び方ひとつで、住まいの印象や快適性は大きく変わります。なぜ室内ドア選びがそれほど重要なのか、3つのポイントから解説します。
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空間の印象を左右するインテリア要素

室内ドアは、壁の中でも特に目に入りやすい大きな面積を占めるパーツです。そのため、ドアの色やデザイン、素材感は、部屋全体の雰囲気を決定づける重要なインテリア要素となります。 壁や床と色調を合わせて統一感を出すのか、あるいはアクセントカラーとしてドアを目立たせるのかによって、空間の印象はがらりと変わります。理想のインテリアを実現するためには、ドアのデザインまで含めてトータルでコーディネートすることが不可欠です。
部屋の快適性と機能性を高める役割

室内ドアが持つ役割はデザイン性だけではありません。例えば、ガラス入りのドアを選べば、廊下や北側の部屋にも光を届け、空間全体を明るく開放的に見せることができます。 また、防音性の高いドアを選べば、寝室や書斎のプライバシーを守り、静かで落ち着いた環境を作ることが可能です。このように、ドアが持つ機能性を上手に活用することで、日々の暮らしの快適性を大きく向上させることができます。
ゾーニングとプライバシーの確保
ドアは、リビングのようなパブリックな空間と、寝室や書斎といったプライベートな空間を明確に分ける「ゾーニング」の役割を担っています。これにより、家族がそれぞれ快適に過ごせる場所を確保し、プライバシーを守ることができます。特に来客時などには、見せたい空間とそうでない空間をしっかり区切れる点が重要になります。鍵付きのドアを選べば、よりプライベートな空間を確保することも可能です。
■まずは知っておきたい!室内ドアの基本
本格的にドアを選ぶ前に、まずは基本的なドアの種類や各部分の名称を知っておきましょう。これらを理解しておくだけで、メーカーのカタログを見たり、担当者と打ち合わせをしたりする際に、スムーズに話を進めることができます。
ドアの主な種類と開閉方法
室内ドアは、その開閉方法によって大きく3つの種類に分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、設置する場所のスペースや使い方に合わせて選ぶことが大切です。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
開き戸 | 前後に開閉する最も一般的なタイプ。気密性・遮音性が高い。 | デザインが豊富。比較的安価な製品が多い。 | ドアが開くためのスペース(可動域)が必要。 |
引き戸 | 扉を横にスライドさせて開閉するタイプ。床のレールで動くものと、上から吊るすものがある。 | 開閉のための前後スペースが不要。開け放して空間を広く使える。 | 扉を引き込むための壁面(戸袋)が必要。開き戸に比べ気密性が低い傾向がある。 |
折れ戸 | 扉が中央で折れ曲がりながら開閉するタイプ。 | 開き戸よりも省スペースで開閉できる。扉を大きく開口できる。 | 構造が複雑なため価格が比較的高め。クローゼットの収納によく使われる。 |
ハンドルや枠など各部の名称
ドアを選ぶ際には、ドア本体だけでなく、周辺の部材についても知っておくと便利です。特にドアハンドルのデザインは、ドア全体の印象を大きく変えるポイントになります。
- ドア本体:ドアの板そのものの部分です。
- ドアハンドル(ドアノブ):ドアを開閉する際に手で持つ部分。レバーハンドルと丸い握り玉(ノブ)の2種類が主流です。
- ドア枠:ドア本体が取り付けられる、壁の開口部を囲む枠のことです。
- 蝶番(ちょうつがい):開き戸で、ドア本体とドア枠を繋いでいる金具のことです。
- ラッチ:ドアを閉じた状態に保つための、ドア側面から出入りする三角形の金具です。
■後悔しない室内ドアの選び方 5つのステップ
ここからは、実際に室内ドアを選ぶ際の具体的なステップを5つに分けて解説します。この順番で検討していくことで、迷うことなく、自分たちの家に最適なドアを選ぶことができます。
ステップ1:ドアの種類(開閉方法)を決める

まずは、そのドアを設置する部屋の広さや使い方を考慮して、「開き戸」「引き戸」「折れ戸」の中から最適なドアの種類を決めましょう。例えば、廊下や部屋の入口など、人の出入りが頻繁で、かつ前後のスペースに余裕がある場所なら「開き戸」が適しています。一方で、スペースが限られている場所や、車椅子の利用などバリアフリーを考慮するなら「引き戸」が便利です。
ステップ2:デザイン(色・素材)を選ぶ
次に、お部屋のインテリアテイストに合わせて、ドアの色や素材を選びます。壁の色と合わせて空間をすっきり見せるのか、床の色と合わせて統一感を出すのか、あるいは全く違う色を選んでアクセントにするのかを考えましょう。 素材も重要で、木の温もりを感じられる天然木や突板、お手入れがしやすくデザイン豊富なシート仕上げなどがあります。 理想の空間をイメージしながら、じっくり選びましょう。
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ステップ3:必要な機能性を考える
デザインと合わせて、ドアにどのような機能を持たせたいかも考えます。例えば、光を通す「採光」機能があるガラス付きのドア、静かな環境を作る「遮音」機能、ペットが自由に出入りできる「ペットドア」付きのものなど、様々な機能があります。 どの部屋にどんな機能が必要かをリストアップしてみると、ドア選びがより具体的になります。
ステップ4:設置する場所に合わせて選ぶ
ドアの種類や機能は、設置する場所の特性によっても変わってきます。例えば、リビングには開放感を演出するガラス面積の広いデザイン、寝室にはプライバシーを守る遮音性の高いデザインが求められます。場所ごとの最適な選び方については、次の章で詳しく解説します。
ステップ5:予算と価格相場を把握する
最後に、予算を考慮します。室内ドアの価格は、種類、素材、機能、デザインによって大きく異なります。シンプルな開き戸であれば数万円からありますが、無垢材を使用したものや特殊な機能を持つものは高価になる傾向があります。家全体のドアの枚数を数え、どこにどれくらいの予算をかけるか、優先順位をつけて計画することが大切です。
■【場所別】最適な室内ドアの選び方
家の中の場所によって、ドアに求められる役割は異なります。ここでは、主要な場所ごとにおすすめのドアの選び方をご紹介します。
リビング:家の顔となる開放感のあるドア

リビングは家族が集い、ゲストを迎える家の中心的な空間です。そのため、デザイン性が高く、開放感を演出できるドアがおすすめです。ガラス部分が大きいデザインを選べば、廊下や隣の部屋とのつながりが生まれ、空間を広く見せることができます。 家族の出入りが多い場所なので、開閉がスムーズな引き戸も選択肢のひとつです。
寝室・書斎:プライバシーと遮音性を重視する
休息や集中が求められる寝室や書斎では、プライバシーの確保と静かな環境づくりが最優先です。そのため、光や音を遮る効果の高い、ガラス部分がないか、あっても小さいデザインのドアが適しています。気密性が高く、遮音性能に優れた開き戸を選ぶと良いでしょう。 もちろん、内側から鍵がかけられる仕様にすることも忘れてはいけません。
トイレ・洗面所:明るさとプライバシーを両立させる
トイレや洗面所は、プライバシーを確保しつつも、中に人がいるかどうかを外から判別できると便利です。そのため、上部に小さな明かり窓(ガラス)が付いているデザインが人気です。 換気のために、ドアの下部に隙間(アンダーカット)が設けられているタイプを選ぶこともポイントです。狭いスペースであることが多いため、開閉時に場所を取らない引き戸や折れ戸も検討しましょう。
子ども部屋:安全性と将来の変化を考慮する
子ども部屋のドアは、まず安全性を第一に考えましょう。指を挟みにくいよう配慮された設計や、万が一閉じ込められても外から開けられるような機能があると安心です。また、子どもの成長に合わせて部屋の使い方が変わることも想定し、プライバシーに配慮しつつも、中の気配がわかる小さなガラス窓付きのデザインなども検討すると良いでしょう。
収納・クローゼット:省スペースと使いやすさを優先する

クローゼットなどの収納スペースのドアは、開閉のしやすさと、収納物の出し入れのしやすさが重要です。開けた時にドアが邪魔になりにくく、開口部を広く取れる折れ戸や引き戸が最も適しています。 デザインは壁の色と合わせて、存在感をなくし、すっきりとした印象にまとめるのが一般的です。
場所 | 優先したいポイント | おすすめのドアタイプ・機能 |
リビング | デザイン性、開放感、採光 | ガラス面積の広いドア、引き戸 |
寝室・書斎 | プライバシー、遮音性 | 開き戸、ガラス無しデザイン、鍵付き |
トイレ・洗面所 | 在室確認、換気、省スペース | 明かり窓付きドア、引き戸、折れ戸 |
子ども部屋 | 安全性、プライバシー | 指挟み防止機能、明かり窓付き |
クローゼット | 省スペース、出し入れのしやすさ | 折れ戸、引き戸 |
■室内ドア選びで失敗しないための注意点
最後に、室内ドア選びで後悔しないために、特に気をつけておきたい3つの注意点をお伝えします。
床や壁との色のバランスを考える
ドア単体のデザインだけで選んでしまうと、実際に部屋に取り付けた際に「なんだかイメージと違う…」ということになりがちです。必ず、床材や壁紙(クロス)の色とのバランスを考えましょう。 小さなサンプルだけでなく、できるだけ大きな面で色を確認し、部屋全体の調和をイメージすることが失敗を防ぐコツです。
ハンドルや蝶番などの金物も忘れずに選ぶ

ドア本体のデザインにばかり気を取られ、ハンドルや蝶番(ちょうつがい)といった金物(かなもの)の選択を忘れがちです。しかし、これらのパーツはドアの印象を大きく左右する重要なアクセントになります。 例えば、同じドアでも、モダンなシルバーのハンドルを選ぶか、アンティーク調のゴールドのハンドルを選ぶかで雰囲気は全く異なります。細部までこだわることで、より完成度の高い空間になります。
ショールームで実物の色や質感を必ず確認する
カタログやウェブサイトの写真だけでは、実際の色味や素材の質感、ドアを開閉したときの重さやまわりの音などを正確に把握することは困難です。可能な限り、メーカーのショールームに足を運び、実物を見て、触れて、動かしてみることを強くおすすめします。 実際に体感することで、使い勝手やデザインへの納得感が高まり、後悔のないドア選びに繋がります。
■まとめ
室内ドアの選び方について、基本から応用まで詳しく解説しました。ドアは単なる仕切りではなく、あなたの家の個性と快適性を創り出す大切なパートナーです。種類、デザイン、機能、そして設置する場所との相性を一つひとつ丁寧に検討することで、きっとあなたの理想にぴったりのドアが見つかります。この記事が、あなたの後悔のない家づくりの一助となれば幸いです。