丸柱の物語③ ~コンクリート調塗装の完成~
2022/ 11/ 16

丸柱の物語③ ~コンクリート調塗装の完成~

 

こんにちは。開発者Tです。

丸柱物語では材料の選定と強度試験のお話でしたが、
ここで一度、これまでの開発過程でアルミ素材に塗装することになった
理由を振り返ってみます。

・重量物であるコンクリートや石は、施工のしやすさを考えると扱いづらい
・石目調や木目調のラッピングや塗装はあるが、コンクリート色は無かった
・コンクリートは基礎や建物本体に使われるので、素地を見せる事はあっても塗装という発想が無かった
・アルミはコンクリートに比べて表面の凸凹が無く、苔や汚れが付きにくいため、メンテナンス性に優れている

このため、軽いアルミに塗装することを選択しました。

 

さて、今回はコンクリート調塗装についてのお話です。

塗装は見た目の美しさを表現するだけではなく、素材を守る耐久性も重要になります。
塗装方法は一般的なものとして焼付塗装があります。
焼付塗装とは、塗料を高温で乾燥させ、硬化する方法です。
この丸柱の塗装はコンクリートの風合いを複数の色で表現するため、
工業製品としてはかなり難しい技術が必要でした。

早速、カラーサンプルのプレートを作製したものがこちら。
本物のコンクリートと比べると素材感が弱い感じがします。


それから濃淡の色使いや細かい模様を何度も調整していき、
本物のような風合いを表現することに成功しました。 

 

しかし、まだ課題があります。

カラーサンプルのプレートは平面ですが、今回の商品は
丸柱の曲面への塗装かつ、どこから見ても継ぎ目なく見せる必要があり
さらに難易度が上がるのです。
実際に丸柱に塗装したサンプルがこちら。まさに職人技です。
淡い色から濃い色までバリエーションを作りました。 

 

重量感のあるリアルなコンクリート色ですがアルミ素材なので見た目より軽い。
コンクリートらしい無骨さがありながら丸みを帯びたフォルムにすることで
その無骨さを和らげるデザインに仕上がってきました。
世の中にありそうでなかったデザインが形になってきて
これはイケる!と手応えを感じました。

もう少し明るく、柄をはっきりさせたい等の希望を相談して色を追求することに。
赤みを出せるようにグレー調と混ぜつつ、温かみが出るよう細かい調整にもこだわりました。
さらに2系統の色を混ぜることで粒感を出し、塗装でここまでの質感を表現することができました。

そして最終に決まったのが、こちらの2色。
グレーの濃淡にこだわった「コンクリート調()」と
コンクリートの粒感にこだわった「コンクリート調()」です。

 
▲左:コンクリート調()、右:コンクリート調()

 

おぉ。綺麗になりました。こだわっただけに、コンクリート感がよく出ております。
素材がアルミと感じさせない、どっしりとした見た目に仕上がりました。
ついにコンクリート色の完成です。


そして、色のデザインだけでなく塗装の性能確認もします。
写真はクロスカット試験法(JIS-K5600-5-6)の様子です。
塗装をした所に傷を付けてから、テープを貼って剥がして
塗装の剥がれが無いか調べる方法です。
安心してお使いいただくために品質確認も怠りません。 

 

最後に、商品として+αの使用価値にこだわった植物のとのコラボです。
コンクリート調の無機質さに、植物のやさしさが組み合わさることにより、
お庭にやすらぎと華やかさをあたえることができます。
お庭に植えられた植物をきっかけに、ご近所さんとの会話が弾んだら素敵だな、
という思いを込めました。
どんな植物を植えようか、アイデア次第で色々な楽しみ方ができそうです。 

 

いかがだったでしょうか。
コンクリート色を生み出す為にいろんな工程を経て、試行錯誤の連続でした。
このコンクリート色は自分も気に入っており、自信を持っておすすめできる商品になりました。
ぜひ、購入していただければと思います。

3話に渡り最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次の商品のお話でお会いしましょう。(開発者T)