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近年、新築やリフォームを検討する際に「ランドリールーム」の設置を考える方が増えています。「家事効率が上がりそう」、「雨の日も洗濯に困らないらしい」といった声を聞く一方で、「本当に必要なのかな?」、「作って後悔しない?」と悩む方も少なくありません。
この記事では、ランドリールームの基本的な情報から、具体的なメリット・デメリット、後悔しないための計画ポイント、そしてご自身の家庭にとって本当に必要かどうかを見極めるための判断基準まで、分かりやすく解説します。ランドリールームの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
■ランドリールームの必要性、まずは基本から理解
ランドリールームという言葉はよく耳にするようになりましたが、具体的にどのようなスペースで、なぜこれほどまでに注目を集めているのでしょうか。まずは、ランドリールームの基本について理解を深めましょう。
ランドリールームとは?洗濯家事を集約する空間

ランドリールームとは、洗濯に関する一連の作業を効率的に行うために設けられた専用のスペースのことです。具体的には、「洗濯物を洗う」、「干す」、「取り込む」、「たたむ」、「アイロンをかける」、そして「洗濯用品やタオル、下着などを収納する」といった作業を1箇所で完結させることを目的としています。
洗面脱衣室と兼用するケースもあれば、独立した部屋として設けるケースもあり、その広さや機能は家庭によって様々です。家事の中でも特に時間と手間がかかると言われる洗濯作業を集約することで、日々の負担軽減を目指す空間と言えるでしょう。
なぜ人気?ランドリールームが求められる背景
ランドリールームがこれほどまでに人気を集めている背景には、現代のライフスタイルの変化や住宅事情が大きく関係しています。
まず、共働き世帯の増加により、家事の効率化や時短へのニーズが非常に高まっています。限られた時間の中で煩雑な洗濯作業をスムーズにこなしたいと考える方が増えているのです。
また、都市部を中心に屋外に洗濯物を干すスペースが限られており、防犯上の理由やプライバシー保護の観点から部屋干しを選択する家庭も増えています。さらに、花粉やPM2.5といった大気汚染の問題から、年間を通して部屋干しを希望する声も少なくありません。
■ランドリールーム導入のメリット

ランドリールームを設けることで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、主な利点を詳しく解説します。
洗濯動線が集約され家事効率が格段に向上
ランドリールーム最大のメリットは、洗濯に関する一連の作業を一箇所で完結できることによる家事効率の向上です。洗濯機から洗濯物を取り出してすぐに干し、乾いたらその場でたたんだりアイロンをかけたりできます。
さらに、下着やタオルなどをランドリールーム内に収納する計画にすれば、たたんだものを各部屋へ運ぶ手間も省けます。
天候や時間に左右されず洗濯物を干せる安心感
雨の日や雪の日、強風の日など、天候が悪いと外に洗濯物を干すことができず、洗濯の計画が狂ってしまうことがあります。また、花粉や黄砂、PM2.5などが気になる時期には、外干しをためらう方も多いでしょう。
ランドリールームがあれば、天候を一切気にすることなく、いつでも好きな時に洗濯物を干すことができます。共働きで日中は洗濯物を取り込めない家庭や、夜間に洗濯を済ませたい家庭にとっても、非常に大きなメリットと言えます。
洗濯用品や一時的な衣類をスッキリ収納可能
洗濯には、洗剤や柔軟剤、漂白剤、ハンガー、洗濯ネット、アイロン、アイロン台など、多くの用品が必要です。これらをランドリールーム内にまとめて収納できれば、洗面所や他の部屋が散らかるのを防ぎ、必要な時にすぐに取り出せて便利です。
また、取り込んだ洗濯物を一時的に置いておくスペースとしても活用できます。すぐにたためない場合でも、ランドリールームに置いておけばリビングなどが散らからずに済みます。
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■ランドリールーム導入のデメリットと注意点

多くのメリットがあるランドリールームですが、導入にあたってはデメリットや注意点も理解しておく必要があります。これらを把握せずに計画を進めると、「作らなければよかった」と後悔する可能性も否定できません。
設置にはある程度のスペース確保が必須
ランドリールームを設けるためには、当然ながらそのためのスペースが必要になります。一般的な目安として、洗濯機を置き、物干しスペース、作業スペースを確保するには、最低でも2畳(約3.3平方メートル)程度、ゆとりを持たせるなら3畳(約5平方メートル)以上あると良いとされています。
限られた敷地面積や延床面積の中でランドリールームのスペースを確保しようとすると、リビングや寝室、収納といった他のスペースが圧迫される可能性があります。家全体の広さのバランスを考え、本当に必要な広さを見極めることが重要です。
建築コストや固定資産税が増加する可能性
ランドリールームを新たに設けることは、単純に部屋が一つ増えることを意味します。そのため、壁や床、天井の工事費、換気扇や照明、場合によっては専用のシンク(スロップシンク)などの設備費用が発生し、建築コストが増加します。
また、床面積が増えることで、毎年かかる固定資産税も高くなる可能性があります。初期費用だけでなく、長期的なコストについても考慮しておく必要があるでしょう。
湿気対策を怠るとカビや結露のリスク
ランドリールームは洗濯物を干す場所であるため、どうしても湿気がこもりやすくなります。適切な湿気対策を怠ると、壁や天井にカビが発生したり、窓に結露が生じたりするリスクがあります。
これを防ぐためには、十分な能力のある換気扇の設置が不可欠です。また、自然換気のために窓を設ける場合は、風通しを考慮した位置や大きさにすることが大切です。壁材に調湿機能のある素材(珪藻土やエコカラットなど)を採用するのも有効な対策となります。
■後悔しないランドリールーム計画の重要ポイント
ランドリールームを作って「本当に良かった!」と心から満足するためには、計画段階でいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、後悔しないための具体的な計画ポイントを解説します。
家族構成と洗濯物の量に合わせた広さを検討
ランドリールームの適切な広さは、家族の人数やライフスタイル、洗濯物の量によって大きく変わります。例えば、夫婦二人暮らしで洗濯物が少ない家庭と、育ち盛りの子供がいる5人家族では、必要な物干しスペースや収納量が異なります。
「洗う・干す・たたむ」の作業をスムーズに行うためには、一般的に2畳から3畳程度が目安とされますが、アイロンがけ専用のスペースや大型の収納も設けたい場合は、さらに広いスペースが必要になることもあります。
家事動線を考慮した最適な配置場所を選定
ランドリールームの配置は、家事効率を大きく左右する重要なポイントです。一般的には、キッチンや洗面脱衣室、浴室の近くに配置すると、水回りの家事をまとめて行いやすく便利です。
また、ファミリークローゼットの隣にランドリールームを配置すれば、洗濯物が乾いた後にそのまま衣類を収納できるため、たたんで運ぶ手間を大幅に削減できます。勝手口の近くに設けて、外干しスペースとの連携を良くする間取りも考えられます。
十分な収納スペースと使いやすい棚の計画

ランドリールームには、洗剤や柔軟剤、ハンガー、洗濯ネット、アイロン用品といった洗濯関連グッズのほか、タオル類や下着、パジャマなどを収納することが多いです。何をどれだけ収納したいのかを具体的にリストアップし、それらが十分に収まる収納スペースを計画しましょう。
可動棚を設置すれば、収納するものに合わせて高さを調整できて便利です。
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換気扇・窓の設置で湿気と採光を確保

湿気がこもりやすいランドリールームでは、換気計画が非常に重要です。24時間換気システムの一部として換気扇を設置するのはもちろんですが、できれば窓も設けて自然換気と採光を確保したいところです。
窓は、風の通り道を考えて2方向以上に設けるか、高窓(ハイサイドライト)にしてプライバシーを確保しつつ換気と採光を取り入れるなどの工夫が考えられます。換気扇の能力や窓の大きさ、位置については、設計士とよく相談しましょう。
作業台やコンセントの位置と数を事前に確認
ランドリールームで洗濯物をたたんだり、アイロンをかけたりするための作業台(カウンター)があると非常に便利です。作業台の高さは、使う人の身長に合わせて決めると作業がしやすくなります。立ったまま作業するのか、椅子に座って作業するのかによっても適切な高さは変わります。
また、アイロンや除湿機、サーキュレーターなどの家電製品を使用するために、コンセントの位置と数も重要です。どの位置でどのような家電を使うかを事前にシミュレーションし、必要な場所に適切な数のコンセントを計画しましょう。
■我が家にランドリールームは本当に必要?判断基準を提示
ここまでランドリールームのメリット・デメリット、計画のポイントを解説してきましたが、最終的に「我が家にとってランドリールームは本当に必要なのだろうか?」という疑問が残るかもしれません。
ここでは、ご自身の状況と照らし合わせて必要性を判断するための基準をいくつか提示します。
洗濯に対する現在の不満点を洗い出す

まずは、現在の洗濯に関する不満点を具体的に書き出してみましょう。「洗濯物を干す場所まで遠くて重い洗濯物を運ぶのが大変」、「雨の日は浴室乾燥を使うが、乾きが悪くて電気代も気になる」、「リビングに洗濯物が干してあると落ち着かない」など、具体的な不満点が多ければ多いほど、ランドリールームによって解決できる課題が多いと言えます。
逆に、現状の洗濯方法に特に大きな不満がなく、効率的にこなせていると感じている場合は、ランドリールームの優先度はそれほど高くないかもしれません。
家事効率化や時短への優先度を考える
日々の家事の中で、洗濯作業の負担軽減や時間短縮をどれだけ重視しているか考えてみましょう。もし、洗濯にかかる時間や労力を大幅に削減できれば、その分家族と過ごす時間が増えたり、自分の趣味の時間に充てられたりすると考えるなら、ランドリールームへの投資価値は高いと言えます。
予算とスペースの制約を現実的に把握
ランドリールームを設けるには、前述の通り建築コストと設置スペースが必要です。家づくり全体の予算の中で、ランドリールームにどれくらいの費用をかけられるのか、また、間取りの中でどれくらいのスペースを割けるのかを現実的に把握することが大切です。
予算やスペースに大きな制約がある場合、無理にランドリールームを作ろうとすると、他の重要な部分にしわ寄せがきたり、使い勝手の悪い小さなランドリールームになってしまったりする可能性があります。
ランドリールーム以外の代替案も比較検討

ランドリールームが唯一の解決策ではありません。例えば、高性能な浴室換気乾燥機を導入する、ガス衣類乾燥機を設置する、リビングの一角にスタイリッシュな部屋干しスペースを設ける、サンルームを設置するといった代替案も考えられます。
■まとめ
ランドリールームは、家事効率を格段に向上させ、日々の洗濯を快適にする大きな可能性を秘めた空間です。しかし、その必要性は、家族構成やライフスタイル、価値観、そして予算やスペースといった現実的な制約によって大きく左右されます。
この記事でご紹介したメリット・デメリット、計画のポイント、そして判断基準を参考に、ご自身の家庭にとってランドリールームが本当に必要なのか、じっくりと検討してみてください。