普段何気なく使っている物が出来上がるまでの工程を考えたことはありますか?
例えば野菜であれば、種から栽培を行い、実や葉が育つと収穫され、
日常でも目にすることが多く知っている方も多いでしょうが、
金属類になるとどうでしょう?
鉱石を溶かして固めて作っているんだろうと、なんとなくはわかるのですが、
詳細になるとよくわからないですよね。
今回はアルミニウム(の新地金)ができるまでの過程を
一緒に勉強していきたいと思います。
まず、アルミニウムの原材料は「ボーキサイト」と言われる赤茶色の鉱石です。
この赤茶色から銀色のアルミニウムが作られるなんて想像がつかないですね。
このままではただの鉱石なので、ボーキサイトから
まずアルミナ(酸化アルミニウム)という白い粉を精錬します。
ボーキサイトの中には約50%アルミナが含まれているので、
1トンのボーキサイトから約500㎏のアルミナが取れます。
実際どのようにアルミナを取り出すかというと
「バイヤー法」といわれる方法で、水酸化ナトリウムの熱溶液で
ボーキサイトを洗浄し水酸化アルミニウムを作ります。
ボーキサイトが水酸化ナトリウムと反応しアルミナ(酸化アルミニウム)に
なるんですね。
この時ボーキサイトの残りの50%ほどの物質は沈殿し分離されます。
この作った水酸化アルミニウムを冷やすと今度はアルミナが
綿毛上の白い個体として沈殿し分離、取り出すことが可能になります。
これでアルミナを取り出すことができたので、遂にアルミニウムを
精製していきます。
中学校の化学で鉄を精製するには炭素と熱し還元をさせると
習ったと思われます。
アルミナ(Al2O3:酸化アルミニウム)も同じように出来るのでは?
と考えられますが、実はこのアルミナは酸素と非常に仲が良く、
少し熱したくらいでは還元してくれません。
なので、アルミナをアルミニウムに還元するには
「ホール・エル―法」という方法を使います。
どういった方法かというと、まず氷晶石とフッ化ナトリウムを
電解炉で融解させます。
これはこのままでは非常に高い酸化アルミニウムの融点(2054℃)を
約1000℃近くまで下げる為です。
そこに先ほど取り出したアルミナをこの中に入れ溶解させ、
炭素電極で電気分解を行います。
そうすると陰極部に液体アルミニウムが集まり、これを凝固させ
アルミニウムが作られます。
調べてみると様々な工程を経てアルミニウムが作られていることがわかりましたね。
ボーキサイトからアルミナ(酸化アルミニウム)に変わり、さらにアルミニウムへ。
ですがアルミニウムの旅はまだまだ続き、ここから様々な金属とめぐり逢い
アルミニウム合金へ進化するのですが、それはまた機会があれば
ご説明したいと思います。