今回はアルミの歴史について掘り下げていきたいと思います。
アルミの歴史は意外と浅く、およそ240年前頃の1782年に
フランスの科学者A.L.ラボワジェによって、アルミの原料である
ミョウバン石が金属と酸素の化合物であると発表されたことから始まります。
では、なぜ紀元前から発見されていた鉄や銅などの他の金属と比べて
アルミの発見は遅かったのでしょうか。
答えは「身近にありすぎたため」です。
アルミは他の物質と簡単に化合物になってしまい、
身近な鉱物や土壌に隠れていたことから発見が遅れたと言われています。
アルミニウムの鉱石であるミョウバン石自体は紀元前5世紀頃から知られていましたが、
当時は染料や木の防火塗料として使われていたのみでした。
その後、実際にアルミニウムの製錬が開始されたのは1855年頃で、
当時は化学還元法で製錬されていましたが、1886年にアメリカのC.M.ホールと
フランスのP.L.T.エルーによって電解製錬法※(ホール・エルー法)が
確立されたことで、現代のアルミ製造への大きな一歩となりました。
(※電解製錬法…酸化アルミニウムを熱して融解したものに
電流を流すことで電気分解の力によってアルミニウム単体を取り出す方法)
このようにして、世界でのアルミ製造はスタートしました。
次は日本国内におけるアルミ製造の歴史を見てみましょう。
日本のアルミ製造は1890年代に開始しましたが、当初は耐久性に劣る
素材であったため、日用品や装飾品としての使用がメインとなっていました。
その後、1936年に海軍からの依頼をきっかけに耐久性の優れた
「超々ジュラルミン」が開発されたことでアルミが航空機などに
用いられるようになり、需要が一気に増加しました。
戦後、航空機の需要が減り一時は衰退しかけたアルミ産業ですが、
産業機械や電気通信など他分野が発展してきたことで生産量が回復し、
現在に至ります。
このようにアルミの製造には時代背景や人々の暮らしの発展が
大きく関わっていることがお分かりいただけたかと思います。
軽さ、加工性の良さなど様々な利点を持つアルミは、これからも私たちの
暮らしに寄り添い、時代とともに発展していくことでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
アルミニウムの歴史については下記URLでも詳しく解説されています。
▼一般社団法人日本アルミニウム協会
アルミの基礎知識 https://www.aluminum.or.jp/basic/alumihistory.html